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貸金庫に現金は入れられない?ダメな理由とは

自分の大切な物を保管するのに銀行の「貸金庫」を利用するケースがありますが、
一般的に貸金庫に現金の入れるのはダメと思われています。

では本当に貸金庫に現金は入れられないのか、
入れられないとすればダメな理由は何のかについて詳しく見ていきましょう。

貸金庫に現金は入れられる

一般的に貸金庫に現金を入れるのダメと思われていますが、
実際には貸金庫に現金を入れることは可能です。

金融機関ごとに多少の違いはあるものの、
基本的に貸金庫に入れられないのは「危険物や変質の恐れがあるもの」です。

ちなみに生き物やなま物は変質する恐れがあるものに該当するので
貸金庫には入れられません。

現金は危険物には当たりませんし、
長期間貸金庫に入れたままにしておいても変質する恐れもありません。

危険物でもなく変質の恐れも無い現金は貸金庫に入れられないものに該当しないので、
貸金庫に入れることは可能というわけです。

貸金庫に現金を入れている人も居る

理論上可能だけで本当に入れている人は居ないというわけではなく、
実際に貸金庫に現金を入れている人も居ます。

最近は様々な社会事情の影響もあってATMで1度に引き出せる金額が
50~100万円に制限されています。

例えば商売などで急に200万円が必要となった場合、
金融機関の窓口が閉まっているとお金が用意できません。

金融機関の窓口は15時で閉まりますが貸金庫は16時17時まで利用できるケースが
多いので、貸金庫なら急に多額の現金が必要になっても対応できるのです。

自営業の人などは数百万円単位の現金を貸金庫に入れていることも少なくないですし、
中には5000万円の現金を貸金庫に入れていたケースもあります。

貸金庫でリスク分散

急に多額の現金が必要になることを想定していなくても、
リスク分散の目的で貸金庫に現金を入れる人も居るのです。

万が一金融機関が破綻した場合でも、ペイオフによって保証される預金は
1つの金融機関につき1000万円とその利息分だけとなっています。

1000万円を超える現金を持っているなら、1つ金融機関口座の預金額が1000万円を
超えないように分散させる必要があります。

現状の低金利では利息は期待できませんから、
現金を分散させる方法として貸金庫を利用するケースがあるのです。

貸金庫に現金を入れておくと災害時に助かることも

貸金庫に現金を入れておくことで、大きな災害が発生した時に助かることがあります。

大きな災害が発生して自宅が倒壊すると、自宅で保管している現金は焼失する恐れも
ありますし、焼失しなくてもしばらくは取り出すのが難しくなります。

口座から現金を引き出そうにも通帳が無いとどうしようもありませんし、
大きな災害時には手元に使える現金が無くて困ることが多いのです。

金融機関なら大きな災害が発生しても建物が倒壊する可能性は低いので、
貸金庫に入れている現金を引き出せます。

実際に過去の大きな災害時に貸金庫が使えなくなったという話は聞きませんし、
貸金庫に現金を入れていたことで当面の生活費に困らずに済んだという人も居ます。

貸金庫に現金を入れることは推奨されていない

貸金庫に現金は入れられますが、
貸金庫を提供している各金融機関は現金を入れることを推奨はしていません。

金融機関が貸金庫に現金を入れるのを推奨しない最大の理由は
「利益にならないから」です。

口座に預かった現金に対して支払う利息と預かった現金を個人や企業に
貸し付けることで発生する利息の差額が金融機関の利益となります。

口座に預かった現金が利益の原資となるため、金融機関は口座に現金を
入れてもらいたいので貸金庫に入れることを推奨しないわけです。

貸金庫の中身を金融機関が保証できないケースがある

金融機関が貸金庫に現金を入れることを推奨しないもう1つの理由として
「中身を保証できないケースがある」ことが挙げられます。

基本的に貸金庫に入れたものは金融機関が責任を持って保管してくれるので、
中身に紛失・破損などが発生した場合には金融機関が保証してくれます。

ただ災害で建物が崩壊した、非常事態や騒乱に巻き込まれたなど逃れようのない
理由で貸金庫の中身に紛失・破損など発生した場合には保証してもらえません。

口座に入れた現金は確実に1000万円まで保証できますが、貸金庫に入れた現金は
1円でも保証できないこともあるので貸金庫に現金を入れるのは推奨されないのです。

貸金庫に入れた現金が狙われたケースもある

まれなケースではありますが、過去に貸金庫に入れた現金が狙われたことがありました。

2000年代初頭にある顧客が貸金庫に入れていた現金を金融機関の関係者が
5年間に渡って合計3000万円以上着服したことが実際にあったのです。

このケースは金融機関の関係者が着服したので保証してもらえるものの、
場合によっては着服されたにも関わらず保証されないことも無いとは言えません。

貸金庫だから100%安全というわけではないので、
貸金庫に現金を入れるにしても十分に注意しなければならないのです。

遺産相続が面倒になることも

貸金庫に入れておいた現金が原因で遺産相続が面倒になることもあります。

特に自営業の人で貸金庫に多額の現金を入れていると遺産相続の際に面倒なことが
起こる可能性が高いです。

遺産を相続する側が貸金庫に多額の現金が入っていることを知っていれば良いですが、
貸金庫に現金が入っていることを知らされていないケースもあります。

遺産を相続するとなった時点で貸金庫に現金が入っていることが分かると、
まず「この現金はどういったお金なのか」が問題となります。

所得隠しや脱税のために貸金庫に現金を隠していた場合、
遺産を相続した人に追徴課税の支払義務が生じます。

貸金庫の現金を遺産を相続するには、貸金庫に入っていた現金が所得隠しや脱税で
得たものでないことを確認しなければいけません。

確認せずに相続しても構いませんが、貸金庫に入っている金額によっては
追徴課税が高額なる恐れがあるので相続前に確認しておいた方が良いです。

過去10年ほど遡って取引明細と確定申告書を照らし合わせることになりますから、
税理士や行政書士の協力が必要となります。

また知らされていない遺産が出てきたことで、払わずに済むはずだった相続税が
発生したり、相続税の支払額が増えることも考えられるのです。

「自分は遺産を残す側だから相続が面倒でも関係無い」では相続する側が可哀そう
なので、少なくとも貸金庫に現金を入れていることぐらいは知らせておきましょう。

貸金庫の使い方次第では相続税の申告漏れが防げる

貸金庫に現金を入れておくと相続が面倒になる恐れがありますが、
貸金庫の使い方次第では相続税の申告漏れが防げます。

実際に遺産相続を経験した人によると、
相続する遺産が全部でどれだけあるのかを把握するのが面倒とのことです。

遺産相続の手続きを済ませてから、存在を知らなかった遺産が出てくると
改めて相続税の申告手続きをしなければいけません。

相続税を収めた後に相続すべき遺産が見つかると、
修正申告となり過少申告加算税がプラスされてしまいます。

遺産額が控除額内に収まって相続税の支払い手続きを行っていない場合でも、
後で遺産が見つかって控除額を超えると相続税の手続きを行うことになります。

ただ相続税の申告期間は10か月なので、存在を知らなかった遺産が出てきたのが
1年後だと加算税や延滞税を余分に支払うことになるのです。

遺産について書いた目録などを貸金庫に入れておき、その存在を相続する人に
事前に伝えておけば後で遺産が見つかって慌てる心配がありません。

貸金庫は使い方次第で相続を面倒にすることもあれば、
相続をスムーズにするものにもなります。

貸金庫の存在を税務署は把握している

所得隠しや脱税、相続税逃れなど良からぬ理由で貸金庫に現金を入れておくことを
考える人も居るかもしれません。

しかし貸金庫に現金を入れることは所得隠しや脱税、相続税逃れの方法としては
使えません。

税務署の職員には個人や企業が利用している金融機関を調査する権限が
与えられているため、貸金庫を利用していることを税務職員は把握できるのです。

貸金庫に現金だけでなく現物資産である金や貴金属、隠し口座の通帳などが
入っているかもしれないと税務職員は考えます。

もし税務申告に不審な点がある場合には「貸金庫の中身を見せてください」と
税務職員が調査に来ます。

税務調査でも貸金庫の中身を見るには利用者の同意が必要で、
貸金庫の開示を拒むことは一応可能です。

ただ税務調査への協力は納税者の義務となっており、
正当な理由なく税務調査を拒むと罰則の対象となる恐れがあります。

税務職員に貸金庫の利用が把握されており、税務調査で貸金庫の開示を拒むことは
実質的にできないので所得隠しなどに貸金庫は使えないというわけです。

現金以外に貸金庫に入れない方が良いもの

できれば現金は貸金庫に入れない方が良いですが、
現金以上に貸金庫に入れない方が良いのが「遺言書」です。

遺産を相続する人が利用者に代わって貸金庫を開けることができますが、
遺言書が無いと相続人の同意が無いと貸金庫が開けられません。

貸金庫を提供している金融機関は中身を把握しているので、
貸金庫の中に遺言書が入っていることを分かっています。

貸金庫の中に遺言書がある場合、金融機関から利用者に代わって貸金庫を
開けるには相続人を全員連れてくるか全員分の同意書を持ってくるように言われます。

相続人が1人なら問題ありませんが、
複数居る上に遠方に住んでいるとなると揃って貸金庫を開けに行くのは難しいです。

相続に関して少しでも揉めている場合には同意書をもらうことも簡単ではありません。

貸金庫を開けられないままズルズルと10か月が経過して、
結果的に余分に相続税を支払うことになってしまいかねないのです。

遺言書は必要な時まで相続人を含めて誰にも見られたくないものではありますが、
貸金庫にだけは入れないようにしてください。

貸金庫は誰でも利用できるわけではない?

貸金庫に現金が入れて良いかどうかの前に、
貸金庫は利用料を払えば誰でも利用できるといったものではありません。

貸金庫の利用には金融機関による事前審査をパスする必要があり、
ローンよりもハードルは低いものの審査をパスできないと貸金庫は使えないのです。

審査をパスするには利用したい貸金庫がある金融機関で口座を持っていることが
最低条件で、
 ・取引期間が長い
 ・定期預金をしている
 ・給与の振込に利用している
などの条件が揃っていると審査にパスしやすくなります。

ただ金融機関の貸金庫には限りがあるため、既に全ての貸金庫が利用されていると
いくら審査にパスしても貸金庫は使わせてもらえません。

実際に大口の預金をしているお得意様でも貸金庫に空きが無いと
利用を断られることがあります。

貸金庫の利用料金

金融機関の口座に現金を預けるのには基本的に料金は発生しませんが、
貸金庫の利用には当然料金が発生します。

金融機関や貸金庫の大きさによって金額は違いますが、
年間で大体15,000~45,000円ぐらいです。

コインロッカーの料金が1日当たり300~500円で、1年間利用すると10万円を
超えますから貸金庫の方がはるかにリーズナブルになっています。

貸金庫は預けている時の安全性も高く、出し入れする際のリスクも低いので
他人に見られたくない貴重品を入れておくのに貸金庫は適しているのです。

開閉無料で利用回数に制限無し

貸金庫は利用料がかかるものの、
貴重品を出し入れするために貸金庫を開閉するのにはお金はかかりません。

また基本的に利用回数にも制限はありませんから、
金融機関の営業時間内であれば1日に何度も出し入れすることが可能です。

ただし金融機関や貸金庫の種類によっては
1日や1か月の利用回数に制限が設けられていることもあります。

1日に何度も出し入れすることは現実にはほとんどありませんが、
利用回数については事前に確認しておきましょう。

まとめ

貸金庫に現金を入れてはダメと一般的に思われていますが、
ほとんどの金融機関の貸金庫に現金を入れることは可能です。

実際に災害時の備えやペイオフ対策のリスク分散で貸金庫に現金を入れている人も
少なからず居ます。

金融機関の貸金庫は安全性が高いので、
現金に限らず貴重品を入れておくに適しています。

ただ貸金庫の中身についての保証には限度があり、万が一不測の事態が
発生した場合には貸金庫に入れていた現金が戻ってこない恐れがあるのです。

貸金庫に現金を入れるのはダメではないものの、多くの金融機関では貸金庫に現金を
入れることは推奨していないので貸金庫に現金を入れるには注意が必要です。

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