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生前贈与で現金300万円貰った、贈与税はいくら?

商品やサービス、労働などの対価としてではなく人から一定額以上の現金を貰うと
「贈与税」という税金が発生します。

では親や祖父母から生前贈与として現金で300万円を受け取った場合には
いくらぐらいの贈与税が発生するのでしょうか?

生前贈与の300万円にかかる贈与税

親や祖父母から生前贈与として現金を受け取ったからと言って
必ず贈与税が発生するわけではありません。

贈与税には基礎控除額が設定されており、生前贈与として受け取った金額が
基礎控除額内に収まっていれば贈与税を納める必要は無いのです。

贈与税の基礎控除額は年間110万円で、
1年間に贈与された金額が110万円を超えた分に贈与税がかかってきます。

もし一度に300万円を生前贈与として受け取ったのであれば、300万円から
基礎控除額110万円を引いた190万円に対して贈与税がかかるわけです。

一度に300万円ではなく年間110万円に収まる金額を数年に渡って
贈与されている場合には、同じ300万円の贈与でも贈与税は発生しません。

300万円の生前贈与では贈与税はいくら?

一度に300万円の生前贈与を受けた場合の贈与税額は19万円です。

贈与税の税率は一律ではなく、
贈与された金額が大きくなるほど税率が高くなる累進制となっています。

贈与金額ごとの税率は以下の通りです。
 ・200万円以下 10%
 ・200万円超~300万円以下 15%
 ・300万円超~400万円以下 20%
 ・400万円超~600万円以下 30%
 ・600万円超~1000万円以下 40%
 ・1000万円超~1500万円以下 45%
 ・1500万円超~3000万円以下 50%
 ・3000万円超 55%

贈与税の税率は高いイメージがあるかもしれませんが、税率が高いの1000万円を
超えるようなケースで400万円以下であればそれほど高率ではありません。

300万円の生前贈与の場合、
基礎控除額110万円を引いた190万円が贈与税の対象となります。

200万円以下の税率は10%ですから、
190万円の10%で19万円が300万円の生前贈与にかかる贈与税となるわけです。

300万円を現金手渡しならバレないのでは?

金融機関口座を通した贈与だとすぐに税務署にバレそうですが、
現金手渡しなら税務署にバレないのではないかと考える人も多いかもしれません。

結論から言うと、金融機関口座を通した贈与であろうが
現金手渡しによる贈与であろうが税務署にはバレます。

税務署には個人や法人のお金の流れを調べる税務調査の権限が与えられています。

税務調査では
 ・不動産売買の履歴
 ・預貯金の出入金履歴(10年分)
 ・有価証券の異動履歴(10年分)
 ・生命保険金の支払履歴
 ・所得
といったことを調べることができるのです。

300万円の現金を生前贈与する際には、
贈与する側が金融機関口座から300万円を引き出すことが十分に考えられます。

口座から300万円引き出したのに他の口座に高額入金が無かったり、
不動産など高額なものを購入した形跡が無いと贈与が疑われます。

また贈与される側も調査されていますから、急に口座に300万円が入金されたり、
所得に見合わない高額なものを購入すると贈与を受けたことが疑われるのです。

税務署に贈与の疑いを持たれると「お尋ね」という質問状が送られてきます。

お尋ねに対して税務署が納得する回答ができないと本格的な税務調査へと
移行するので、現金手渡しであっても税務署に贈与がバレるというわけです。

税務署に指摘されてからでは納税額が大きくなることも

300万円の現金を手渡ししたことを税務署に指摘されてから贈与税を納めるとなると、
税額が大きくなってしまう恐れがあります。

サラリーマンだとあまり気にしないかもしれませんが、
各種税金には納税期限が設けられています。

贈与税の対象期間は毎年1月1日から12月31日までで、
納税期限は翌年の2月1日から3月15日です。

例えば2023年1月1日に300万円の贈与を受けたとすると、2024年2月1日から
3月15日の間に贈与税の申告をして19万円を納めないといけないわけです。

3月15日までの納税期限後に税務署から贈与税申告が必要であると指摘を受けると
 ・無申告加算税
 ・過少申告加算税
 ・重加算税
 ・延滞税
といった追徴税が贈与税とは別に課される恐れがあります。

「無申告加算税」は文字通り申告すべき贈与税を申告しなかった場合の追徴税で、
本来の贈与税額に5~20%上乗せされます。

300万円の贈与を受けたのに期限までに申告をしないと、本来の贈与税額である
19万円に10%が上乗せされて約21万円を納めることになるのです。

「過少申告加算税」は贈与を受けた金額を実際よりも少なく申告した場合に課される
追徴税です。

本来納めるべき贈与税額から既に納めている贈与税額を差し引いた金額に
5~10%が上乗せされます。

例えば両親からそれぞれ300万円ずつ合計600万円の贈与を受けたのに、
半分の300万円分しか贈与税申告をしなかったとします。

本来納めるべき贈与税額は600万円から基礎控除額110万円を引いた
490万円の20%ですから98万円です。

しかし300万円分の贈与税額19万円しか納めていないと、98万円から19万円を
引いた79万円に10%上乗せされて約87万円納めることになります。(合計で約106万円納めることになる)

「重加算税」は故意に贈与税を逃れようとした場合の追徴税で、
本来納めるべき贈与税額に35~50%が加算されるのです。

例えば300万円の贈与を意図的に申告しなかった場合は、
本来の贈与税額19万円に40%が上乗せされて約27万円を納めないといけません。

無申告ではなく過少申告の場合は35%上乗せで、過去5年以内に
無申告・過少申告の追徴税を課されているとさらに10%上乗せされます。

追徴税に税金の利息のようなものである「延滞税」もプラスされますから、
税務署に指摘されてから贈与税を申告することに得はありません。

ちなみに税務署の指摘前に修正申告した場合には、
無申告だと5%上乗せ、過少申告だと追徴税の上乗せは無しです。

また計算ミスや勘違いなど過失によるものが無申告や過少申告で、
意図的に申告しない・少なく申告したといった場合は重加算税の対象となります。

300万円なら贈与より相続

税金のことだけで考えると、親や祖父母から300万円の生前贈与よりも
300万円の相続の方が納税額が少ないです。

贈与税の基礎控除額は年間110万円ですが、
相続税の基礎控除額は3000万円+600万円×相続人数です。

他に相続財産との兼ね合いにはなるものの、
300万円だけなら基礎控除額内に余裕で収まるので相続税は発生しません。

生前贈与だと19万円の贈与税を納めないといけませんが、
相続だと相続税はゼロですから生前贈与よりも相続の方が税負担は軽いです。

取り急ぎ300万円を贈与するべき理由が無いのであれば、
税負担が軽くなる相続まで待つのも1つの方法です。

贈与税を発生させずに300万円を贈与するには

300万円の贈与には19万円の贈与税が発生しますが、
贈与税を発生させずに300万円を贈与する方法はあるのでしょうか?

贈与税を発生させずに300万円を贈与する一番簡単な方法は「暦年贈与」です。

暦年贈与と言われるとややこしそうですが、
簡単に言うと300万円を分割して何年にも渡って贈与するということです。

例えば1年に100万円ずつ3年に渡って贈与すれば、
年間の贈与額は贈与税の基礎控除額内に収まるので贈与税は発生しません。

ただし毎年同じ額を贈与すると「連年贈与」と見なされて贈与税の対象となってしまう
恐れがあるので注意が必要です。

暦年贈与だと何年かに渡って贈与を続けた結果たまたま贈与総額が300万円になった
だけで、最初から300万円を贈与することは決まってなかったと見なしてもらえます。

連年贈与だと最初から300万円を贈与することが決まっていて、
それを3年で分割して1年に100万円ずつ贈与したと見なされます。

最初から贈与総額が決まっている連年贈与では、
贈与することが決まっている総額に対して贈与税がかかってしまうのです。

毎年同じ金額を贈与していると連年贈与と見なされる可能性があるので、
暦年贈与とするなら1年ごとに贈与する金額を変えましょう。

もしくは1年ごとに贈与契約書を作成して、
あくまで1年ごとに別々の贈与が発生しているといったことにしましょう。

ただ親族間だと遡って贈与契約書を作成することもできますから、
単に契約書を作るだけでは暦年贈与の証拠としては弱くなってしまいます。

贈与契約書を作るのであれば、
毎年公証役場で確定日付を付してもらうようにしてください。

相続時精算課税制度の利用

300万円の現金を贈与税を発生させずに贈与するには「相続時精算課税制度」を
利用する方法もあります。

相続時精算課税制度は簡単に言うと、
贈与税を遺産相続の時まで先送りできる制度のことです。

もう少し詳しく説明すると、60歳以上の親や祖父母が18歳以上の子・孫に財産を
贈与するのに相続時精算課税制度を利用すると2500万円まで無課税となります。
(2500万円を超える分には一律20%の課税)

贈与した親や祖父母が亡くなって相続が発生したら、
2500万円までの生前贈与分を相続遺産に含めて相続税を計算するのです。

例えば親1人1人の親子で親から子に300万円生前贈与した場合、
相続時精算課税制度を利用すると生前贈与した時点では贈与税はかかりません。

ただ親が亡くなり子が遺産を相続する際に、
生前贈与された300万円を相続遺産に含めて相続税を計算しないといけないのです。

仮に亡くなった親の遺産が3500万円だと相続人が1人の場合の
基礎控除額3600万円に収まるので相続税は発生しません。

ところが生前贈与された300万円を含める遺産は3800万円となり、3600万円を
差し引いた200万円が相続税の対象となり20万円の相続税を納めることになります。

300万円の贈与税は19万円ですから、このケースのように相続時精算課税制度を
利用した方が贈与税よりも高くなってしまうことがあるので注意も必要です。

都度贈与なら贈与税も上限も無し

お金が必要になった時に子や孫に代わって親や祖父母が支払う都度贈与なら
贈与税はかかりませんし、贈与できる金額に上限もありません。

親や祖父母は子や孫を養育する義務を負っていますから、子や孫が教育を受けたり
生活を維持するのに必要な資金を負担するのは当然のことなのです。

実際に多くの人は小学校・中学校・高校・大学の学費を親や祖父母に
負担してもらっているはずです。

親や祖父母と同居していれば食費や衣服費、光熱費など生活に必要な費用も
親や祖父母が負担しています。

しかし親や祖父母は子や孫の教育や生活にかかる費用を負担したことに対する
贈与税は納めていません。

子や孫が何歳になろうと遠くで生活していようと、教育や生活に費用が
必要になるたびに親や祖父母が贈与すれば贈与税の対象とはならないわけです。

ただし都度贈与で贈与税を発生させないためには、
贈与された分をその都度使い切ってしまわないといけません。

例えば300万円を都度贈与で受け取ったとすると、学費、不動産や車の購入資金、
結婚資金などとして使い切ってしまわないといけないのです。

使い切れずに余った分を貯金すると300万円は都度贈与はなく
通常の贈与と見なされて19万円の贈与税が発生してしまいます。

都度贈与で現金を受け取る場合には、必ず一度に使い切ってしまうことと
使い切ったことを証明する領収書の保管することを忘れないでください。

贈与税の控除制度は使い勝手が良くない

暦年贈与や都度贈与以外にも贈与税を発生させずにまとまった金額を贈与する方法は
ありますが、いずれも使い勝手があまり良くありません。

例えば配偶者控除の特例で、婚姻期間が20年以上の夫婦間の贈与では
年間110万円の基礎控除額とは別に2000万円の控除額が設けられています。

ただ配偶者控除の特例では、
自分たちが住む家もしくはその家を購入するための資金しか控除の対象となりません。

住宅を購入する目的で贈与する以外は、
現金300万円の贈与で贈与税における配偶者控除の特例は利用できないのです。

また教育資金の非課税の例、結婚・子育て資金の非課税の特例を利用すると、
教育資金は1500万円まで、結婚・子育て資金は1000万円まで控除が受けられます。

ただしいずれの特例も2023年3月31日までに贈与された分にしか適用されません。

さらに金融機関が管理する専用口座を作らなければならず、
実際に教育や結婚・子育てに使った金額を領収書で精算する形となります。

目的外利用はもちろん教育や結婚・子育てに必要な資金でも
自由に引き出して使うこともできないのです。

贈与税の控除制度を利用するぐらいなら暦年贈与や都度贈与の方が
融通もききますし特に手続きに要らないので簡単です。

まとめ

現金300万円を生前贈与された場合は、
基礎控除額110万円を引いた190万円の10%で贈与税額は19万円となります。

贈与税は累進制で、300万円だと10%ですが贈与される金額が大きくなるほど
税率も高くなり最大税率は55%です。

現金での生前贈与でも税務署にはお金の流れを把握されているので、
間違っても贈与税を逃れようとは考えないでください。

贈与税を逃れようとするのではなく、
暦年贈与や都度贈与などの方法を使って贈与税の負担を軽くするようにしましょう。

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