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危険予知活動記録の例文、重機の場合

工事現場での作業は常に危険と隣り合わせで、特に重機を扱う現場では命に関わる
重大事故に繋がる恐れもあるため「危険予知活動(KY活動)」がより重要です。

では重機に関する危険予知活動とはどういったものか、
重機の危険予知活動記録を作成する際の例文などについて詳しく紹介しましょう。

重機の危険予知活動のポイント

工事現場で使用する重機には色々ありますが、
特に事故の危険性が高いのが「バックホウ」と「クレーン車」です。

バックホウはいわゆるショベルカーのことで、大型のものはバックホー、
小型のものはユンボと言われることもあります。

クレーン車は大型のものだけでなく、トラックの荷台に小型のクレーンが付いている
ユニック車と言われるものも含まれます。

いずれも作業中はもちろんですが、
作業場に向かう移動時や乗降時にも事故が起こる危険性があるのです。

重機では作業中に加えて移動時や乗降時にどういった危険があるのかを考えて
危険予知活動を実施する必要があります。

重機で実際に起こりうる事故

危険予知活動の参考になるよう、
実際に重機でどういった事故が起こる恐れがあるのかを紹介しましょう。

重機が関わる事故で注意しなければならないのが「接触」と「転倒」です。

接触は移動中や稼働中の重機と作業員が接触することで、転倒は重機自体が
転倒するのはもちろん乗降時などに重機の操縦者が転倒することを指します。

バックホウもクレーンも旋回をした際に、
アームの先に付いてるバケットや吊り荷と作業員が衝突する恐れがあります。

作業中だけでなく作業場へ向かう時や作業場から外へ出る際の移動中にも
作業員と接触する事故が実際に起こっているのです。

バックホウはトラックの荷台に積んで運ぶため、
トラックの荷台からの積み下ろしの際に転倒事故が起こりえます。

さらに転倒した時に操縦者が車外に投げ出されて、
転倒したバックホウの下敷きになる恐れもあります。

盛土作業のために山の斜面を移動中にバランスを崩してバックホウが倒れて
崖下に転落するといった事故が実際に起こっているのです。

バックホウの危険予知活動記録例文

工事現場などで危険予知活動記録を作成する際の例文をいくつか紹介します。

危険予知活動記録は「危険ポイント」に対してどういった「対策」を行うのかを
記載することになります。

まずバックホウで危険ポイントの1つとして挙げられるのが「バケットとの接触」です。

危険予知活動記録に記載する際は、危険ポイント「バックホウの旋回時にバケットが
作業員とぶつかる」などとします。

対策は
 ・確立された作業手順を順守して、周辺の安全確認を徹底する
 ・バックホウ周辺に立入禁止区域を設けてバリケードを設置して監視員を配置する
などです。

バックホウで掘削作業を行っていると、どうしても前方に意識が集中して
左右や後方の安全確認が疎かになってしまいがちです。

周辺の安全確認を徹底することで、
旋回時にバケットが作業員にぶつかる事故を防げます。

またバックホウを操縦している側が注意するだけでなく、バックホウの周辺に
立入禁止区域を設けて周辺の作業員にも注意喚起することが必要です。

現場によってはバリケードの設置や監視員の配置が難しいかもしれませんが、
バックホウ周辺に作業員を近づけないことで確実に事故が防げます。

バックホウの旋回時にはバケットだけでなく、
バックホウの本体いわゆるカウンターウエイトと作業員が接触する恐れもあるのです。

危険ポイントの例文としては「バックホウの旋回時に後方の作業員と
バックホウのカウンターウエイトがぶつかる」などとなります。

対策はバケットとの接触と同じで「周辺の安全確認の徹底」と
「立入禁止区域の設置や監視員の配置」などです。

バックホウが旋回するとキャタピラ部分を除く車体部分が動きますから、
バケットの付いている前方だけでなく後方にも接触の恐れがあるのです。

真後ろだとミラーの死角に入ることもあるため、
ミラーでの確認に加えて目視での確認と声掛けによる安全確認が求められます。

バックホウの移動時の危険予知活動

バックホウは作業時が一番危険だと思われていますが、
実は移動時も作業時と同じぐらい危険が付き物となっています。

実際の事故例は
 ・路肩に停めたバックホウを動かそうとしたら路肩が崩れてバックホウが横転した
 ・トラックの荷台からバックホウを降ろす際に道板が外れてバックホウが横転した
 ・現場内をバックホウで移動中に左折したら作業員に接触した
 ・アームを持ち上げたまま不安定な場所を移動していたらバランスを崩した
などです。

バックホウの危険予知活動記録を作成する際には、
危険ポイントとして先の事故例を記載すればOKです。

対策としては、1つに「バックホウを駐車する時は必ず平らで固く安定した場所を選ぶ」ことが挙げられます。

もう1つ「バックホウの駐車時はバケット・排土板・キャタピラの三点接地を順守する」
ことも加えておきましょう。

「道板は十分な強度と幅の物を使い、適切な勾配となるように確実に取り付ける」
ことも重要です。

「バックホウでの移動中には前方及び左右の安全確認を徹底する」ことと
「スピードを出し過ぎない」ことも対策として入れておきましょう。

「移動中は機体の安定が保てる位置までアームを下げる」ことも当たり前ですが、
作業員に徹底させるためにも今一度確認しておく方が良いです。

バックホウでの移動時に発生する事故の多くはヒューマンエラーによるものです。

工事現場では慣れや油断が大きな事故に繋がりますから、当たり前のことや
分かっているであろうことも危険予知活動記録で確認しておかないといけません。

バックホウ乗降時の危険予知活動

車や機械では動いている時に事故が発生するのは当たり前ですが、
バックホウやトラックでは乗降時にも事故が発生する恐れがあります。

具体的には
 ・バックホウに乗り降りする際、誤って操作レバーを触ってしまいキャタピラに足を
巻き込まれる
 ・安全帯を付けたままバックホウに乗り込み、降りる際に安全レバーに安全帯が
当たってレバーが下がった
といった事故が実際に発生しているのです。

また上着の前を開けたままでバックホウに乗っていて、降りる際に上着が旋回レバーに
引っ掛かって降りようとした作業員がキャタピラと本体に挟まれる事故も起こっています。

まずバックホウから降りる際には、たとえすぐに戻ってくるとしても
必ずエンジンを切って安全レバーを上げておかないといけません。

エンジンをかけたまま乗り降りしようとすると、
誤ってレバーを触ってしまうことで事故が発生するわけです。

バックホウの乗降時の危険予知活動では「バックホウから降りる時は
必ずエンジンを切って安全レバーを上げる」ことが対策となります。

安全レバーを上げておけば、
バックホウそのものやバケットを動かすことができなくなります。

エンジンを切った上で安全レバーを上げておくことで、
乗降時の誤操作による事故を確実に防げるのです。

バックホウの種類によっては安全帯を装着していることで、
安全レバーと安全帯が当たってしまうことがあります。

大型のバックホウだと安全帯を装着して乗り込むことが推奨されますが、
種類によっては安全帯を外してシートベルトを付けた方が安全だったりします。

またバックホウに乗る際はレバーに引っ掛からないように「作業服の袖や裾はボタン、
ファスナー、紐をしっかり留めておく」ことも重要です。

安全装置が付いたバックホウを導入する

「安全装置が付いたバックホウ」を導入することも危険予知活動の一環となります。

例えば標準的な種類よりも本体後方の旋回半径が小さい超小旋回型のバックホウで
あれば、旋回時に本体後方で衝突するリスクが軽減されます。

また「ROPS」(横転時保護機構)が備わっているバックホウだと、万が一横転した
場合でもシートベルトをしておけば運転席の作業員が助かる可能性が高いです。

後方の視界が運転席のモニターで確認できるバックホウもあり、
作業時はもちろん移動時の衝突事故を起きにくくできます。

最近のバックホウには「クレーンモード」が搭載されているモデルもあり、
クレーンモードでバックホウを作動させることで旋回時の事故が減らせます。

クレーンモードで作動させると、旋回速度が遅くなってバックホウ本体が安定するため
衝突や横転のリスクが大幅に軽減できるのです。

ただ旋回速度が遅いと作業効率が悪くなるということで、
作業員が独自の判断でクレーンモードを使わないケースが少なくありません。

クレーンモードが付いているバックホウを導入しているなら、危険予知活動記録に
旋回時の事故対策として「クレーンモードの使用順守」を加えると良いでしょう。

いきなり所有している全てのバックホウを安全装置付きのものに替えるのは、
コスト面から考えても現実的ではないです。

買い替えや借り替えの時期に備えて、
安全装置付きバックホウの導入を検討してみてください。

クレーンの危険予知活動記録例文

クレーン車やユニック車の使用時に起こりうる事故としては
 ・旋回時に振れた吊り荷が作業員に接触する
 ・旋回時に吊り荷が振れて近くの建物に激突する
 ・荷を吊り上げた時に玉掛けワイヤーが切れる
 ・吊り上げた時に束ねたパイプが抜け落ちる
 ・定格荷重を超える荷を吊り上げたためにクレーンが横転した
 ・吊り荷が風に煽られて近くの建物に激突する
 ・吊り荷のバランスを作業員が直そうとして吊り荷に手を挟む
 ・クレーン車やユニック車から降りる時に躓いて転落する
などが考えられ、実際に起こっています。

クレーン車やユニック車の危険予知活動記録を作成する場合は、
上記を例文として危険ポイントに記載すると良いでしょう。

先のバックホウでも旋回時の衝突が危険ポイントでしたが、
クレーンで旋回すると吊り荷が振れるのでより衝突の危険性が高くなります。

クレーンで荷を吊り上げている時は、
クレーン自体や吊り上げている荷には作業員が近付かないことが重要です。

吊り荷が振れることを想定して、
旋回時の危険区域をバックホウよりも広めに取っておく必要もあります。

振れた吊り荷が近くの建物などにぶつからないようにするには、
クレーンの旋回スピードを必要以上に速くしないことです。

荷を吊り上げるのに使う玉掛けワイヤーは、事前に異常が無いかしっかりとチェック
することと替えのワイヤーを用意しておくことが危険予知活動の対策となります。

パイプのように複数の資材をひとまとめにして吊り上げる際は、
1本抜け落ちることを根本的に防ぐことは難しいです。

抜け落ちることを前提に、パイプなど複数の資材をひとまとめに吊り上げる時は
吊り荷の下や周辺に作業員が入らないようにしてください。

クレーンは車体やクレーン自体の大きさなどによって定格荷重が決まっており、
定格荷重以上の重さの荷を吊り上げると横転や落下のリスクが高まります。

クレーンを使用する際には定格荷重を確認して、
吊り荷の重さが定格荷重を超えないようにすることが何よりも重要です。

また定格荷重内であっても重い物を吊り上げる時には、横転防止のアウトリガーを
使用して車体の安定性を確保することを確認しておきましょう。

パイプのようなそれほど重くない吊り荷の場合には、
吊り上げた時に風で吊り荷が煽られて大きく振れることがあります。

風に煽られて大きく振れた吊り荷が近くの建物などに激突すると、
怪我人が出なくても大きな事故となるのです。

吊り荷が風に煽られて振れる恐れがある場合には、
介錯ロープを使って吊り荷が大きく振れないようにしなければなりません。

また介錯ロープを持つ作業員の安全を確保するために、
事前に介錯ロープの使い方や使う際のルールについても確認しておく必要があります。

吊り荷のバランスが崩れた場合は、
吊り上げたまま他の作業員にバランスを直させてはいけません。

「玉掛け作業の安全に係るガイドライン」で、
クレーン作業中は吊り荷や玉掛け用具に直接触ってはいけないとされています。

吊り荷のバランスが崩れたら、
一度吊り荷を地面に下ろしてから玉掛け作業をやり直すようにしましょう。

クレーン車やユニック車は車高が高いので、
運転席から作業員が降りる際に躓いて転落してしまうことがあります。

クレーン車やユニック車から降りる際は手すりを持ち、
車体が体の前側に来るように後ろ向きで降りることを徹底しなければいけません。

まとめ

工事現場では様々な危険予知活動を行いますが、バックホウやクレーンといった
重機に関する危険予知活動は最優先で行うのがベターです。

危険予知活動の優先順位は「事故の重大性」で判断します。

発生頻度は高いけど発生しても軽い怪我で済むなら、
危険予知活動の優先順位は低くなります。

発生頻度は低いけど発生すると命に関わる重大事故になる場合には
危険予知活動は最優先で行わないといけません。

バックホウやクレーンなど重機が関わる事故は、
発生頻度が高い上に発生すると命に関わる重大事故となる恐れが非常に高いです。

重機を扱う現場では、
まず重機についての危険予知活動から始めるぐらいの準備をしておきましょう。

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