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住宅用家屋証明書の交付で登録免許税が安くなる

マイホームを購入する際には「登録免許税」を納めますが、
安い買い物でないだけに登録免許税もそれなりの金額になってしまいます。

今回はマイホーム購入時の登録免許税を軽減させられる
「住宅用家屋証明書」について詳しく見ていきましょう。

登録免許税とは

住宅用家屋証明書の前に、
マイホーム購入時に発生する「登録免許税」について説明しておきます。

登録免許税は簡単に言うと国に何かしらの登録をしたり、
何かしらの許可や認可を貰う際に納めることになる税金です。

マイホームを持つには購入した土地と建物を「登記」する必要があり、
その購入した土地と建物の登記自体にかかる税金が登録免許税なのです。

登記以外だと、弁護士や司法書士など国家資格の登録、
建設業や運送業などの事業許可の取得にも登録免許税がかかります。

弁護士登録は6万円、建設業許可(大臣許可)は15万円といったように
国家資格の登録や事業許可の取得は金額が決まっています。

ところが不動産登記にかかる登録免許税は、登記する不動産の固定資産税評価額に
指定の税率をかけた金額のためそれなりの金額となってしまうわけです。

不動産登記にかかる登録免許税の税率については後述しますが、
建物が新築か中古かで税率が変わります。

マイホーム購入時に納める登録免許税

マイホーム購入時に納めることになる可能性がある登録免許税は
 ・所有権保存登記
 ・所有権移転登記
 ・抵当権設定登記
の3種類です。

「所有権保存登記」は登記されていない不動産の最初の登記のことで、
新築の一戸建てやマンションを購入した時に行う登記です。

所有権保存登記にかかる登録免許税の税率は1000分の4(0.4%)となっています。

「所有権移転登記」は既に登記されている不動産の所有権を移転させる登記のことで、
中古の一戸建てやマンションを購入した際に行います。

所有権移転登記にかかる登録免許税の税率は1000分の20(2%)です。

「抵当権設定登記」は既に登記されている不動産に金融機関などが抵当権を
設定する時に行う登記のことです。

簡単に言うと住宅ローンを利用してマイホームを購入した際に行うのが
抵当権設定登記となります。

抵当権設定登記の登録免許税の税率は
所有権保存登記と同じ1000分の4(0.4%)です。

所有権保存登記と所有権移転登記の登録免許税は
土地と建物それぞれにかかってきます。

また住宅ローンを利用した場合には所有権保存登記や所有権移転登記とは別に
抵当権設定登記の登録免許税を納めないといけません。

住宅用家屋証明書とは

登記する建物が一定の要件を満たしていて、なおかつ所有者が住居として
利用する場合に交付されるのが「住宅用家屋証明書」です。

建物が一定の要件を満たしていても
 ・親が子供のために購入した
 ・購入した建物を賃貸住宅にする
などといった場合には住宅用家屋証明書は交付されません。

要件は後述するとして、住宅用家屋証明書の交付を受けることで
建物の登記にかかる登録免許税が軽減されます。

ただし住宅用「家屋」証明書ですから、あくまで建物の登記にかかる登録免許税が
軽減されるだけで土地の登録免許税は対象外です。

住宅ローンを利用する場合は土地と建物両方に抵当権が設定されるので、
住宅用家屋証明書の交付で抵当権設定登記の登録免許税は軽減されます。

住宅用家屋証明書の交付を受けることで、建物にかかる登録免許税の税率が
 ・所有権保存登記 1000分の4(0.4%)→1000分の1.5(0.15%)
 ・所有権移転登記 1000分の20(2%)→1000分の3(0.3%)
 ・抵当権設定登記 1000分の4(0.4%)→1000分の1(0.1%)
となるのです。

例えば固定資産税評価額が3000万円の土地と2000万円の建物を
全額住宅ローンを使って6000万円で購入したとします。

新築の場合、住宅用家屋証明書の交付を受けないと
 ・土地の所有権保存登記 3000万円×1000分の4=12万円
 ・建物の所有権保存登記 2000万円×1000分の4=8万円
 ・抵当権設定登記 6000万円×1000分の4=24万円
で合計54万円の登録免許税を納めないといけません。

住宅用家屋証明書の交付を受けると
 ・土地の所有権保存登記 3000万円×1000分の4=12万円
 ・建物の所有権保存登記 2000万円×1000分の1.5=3万円
 ・抵当権設定登記 6000万円×1000分の1=6万円
で登録免許税は合計21万円と交付を受けない場合の半分以下で済みます。

同じ価値の土地・建物を中古で購入して住宅用家屋証明書の交付を受けないと、
登録免許税は合計で124万円となります。

住宅用家屋証明書の交付を受けると登録免許税は合計で72万円となり、
交付を受けない場合と比べて50万円も少なくなるのです。

特に中古住宅を購入する際は住宅用家屋証明書の交付を受けることで、
建物の所有権移転登記にかかる登録免許税が通常の6分の1以下となります。

住宅用家屋証明書の交付を受けることで、入居後に自宅の利用に何らかの制限を
設けられることは無いですし、毎年報告書などを提出する義務もありません。

新築の場合でも数十万円は軽減されますから、要件を満たしているのであれば
住宅用家屋証明書の交付を受ける方が絶対にお得です。

住宅用家屋証明書の交付を受ける要件

住宅用家屋証明書の交付を受けるには、
登記する建物が一定の要件を満たしていないといけません。

まず絶対条件として
 ・所有者自身が居住するための建物
 ・事務所や店舗などを併設する場合は居住用部分が床面積の90%以上
 ・新築または取得してから1年以内の登記
 ・建物の床面積が登記簿上で50㎡以上
 ・マンションは耐火建築物、準耐火建築物、低層集合住宅のいずれかに該当
の5つ(一戸建ては上の4つ)をクリアしておく必要があります。

新築の注文住宅や建売住宅、マンションには
 ・販売や賃貸が目的でない
 ・建築後に使用されていない(未使用証明書)
の2つの要件が追加されます。

中古住宅だと
 ・販売や賃貸の目的でない
 ・売買または競落による取得(相続は含まれない)
 ・耐火建築物は取得前25年以内に建築
 ・木造及び軽量鉄骨造は取得前20年以内に建築
の4つの要件のクリアも必要です。

ちなみに「耐火建築物」とは、登記簿に記載されている構造が
 ・石造
 ・れんが造
 ・コンクリートブロック造
 ・鉄骨造
 ・鉄筋コンクリート造
 ・鉄骨鉄筋コンクリート造
となっている建物のことです。

最初の絶対条件5つと新築・中古それぞれの要件を全て満たしていると
住宅用家屋証明書の交付が受けられて登記にかかる登録免許税が軽減されます。

認定長期優良住宅、認定低炭素住宅だとさらに登録免許税が軽減

購入する建物が
 ・認定長期優良住宅
 ・認定低炭素住宅
だと住宅用家屋証明書の交付を受けることでさらに登録免許税が軽減されます。

ただし長期優良住宅と低炭素住宅の認定は新築物件でしか受けられず、
長期優良住宅や低炭素住宅の要件を満たしていても中古物件は認定されません。

通常の住宅だと住宅用家屋証明書の交付を受けることで、登録免許税の税率が
 ・所有権保存登記 1000分の4(0.4%)→1000分の1.5(0.15%)
 ・所有権移転登記 1000分の20(2%)→1000分の3(0.3%)
 ・抵当権設定登記 1000分の4(0.4%)→1000分の1(0.1%)
といったように軽減されます。

認定長期優良住宅だと
 ・所有権保存登記 1000分の4(0.4%)→1000分の1(0.1%)
 ・所有権移転登記 1000分の20(2%)→一戸建て1000分の2(0.2%)
マンション1000分の1(0.1%)
となり、認定低炭素住宅だといずれも1000分の1(0.1%)に軽減されるのです。
(抵当権設定登記にかかる登録免許税の税率は通常の住宅と同じ)

新築は0.05%の違いですが、
住宅の固定資産税評価額が大きいだけに数万円の違いになることもあります。

長期優良住宅の認定要件

登録免許税が軽減される長期優良住宅に認定されるには、
 ・耐震性
 ・省エネルギー性
 ・維持管理、更新の容易性
 ・劣化対策
 ・バリアフリー性
 ・可変性
 ・維持保全計画
 ・居住環境
 ・住戸面積
 ・住宅履歴情報の整備(戸建て)、災害配慮(マンション)
の10個の要件をクリアしなければいけません。

「耐震性」は戸建ては耐震等級3、マンションは
 ・耐震等級2
 ・耐震等級1で安全限界時の層間変形が100分の1(木造は40分の1)以下
 ・耐震等級1ではり間方向とけた行方向が指定の基準に適合
 ・品確法の免震建築物
のいずれかに該当していることが必要です。

「省エネルギー性」は戸建て・マンションともに断熱等性能等級5以上で
一次エネルギー消費量等級6であること。

「維持管理の容易性」では戸建ては維持管理対策(専用配管)等級3、マンションは
 ・維持管理対策(共同配管)等級3
 ・更新対策(共用排水管)等級3
が求められます。

「劣化対策」は戸建て・マンションともに劣化対策(構造体躯等)等級3、
加えて建物の構造に応じた基準のクリアが要件となります。

「バリアフリー性」はマンションのみ高齢者等配慮対策(共用部分)等級3で、
戸建ての長期優良住宅の認定では要件に含まれません。

「可変性」もマンションのみの要件で躯体天井の高さ2650mm以上です。

「維持保全計画」は
 ・構造耐力上主要な部分
 ・雨水の侵入を防ぐ部分
 ・給排水設備
について点検・補修の計画を策定することが求められ、
少なくとも10年ごとの点検が必要です。

「居住環境」では地域で策定されている街並みや景観、建築などの計画・協定の内容と
調和が図られていることが必要とされます。

統一の明確な基準は無く、自治体など申請先の機関がそれぞれの基準で行われる
審査をパスしなければいけません。

「住戸面積」は戸建ては75㎡以上で1つの階の床面積が40㎡以上、
マンションは40㎡となります。

「住宅履歴情報の整備」は戸建てのみで
 ・長期優良住宅認定申請の必要書類
 ・平面図や立面図など意匠関連図書
 ・壁量計算書やN値計算書など構造関連図書
 ・仕様や設備、設備機器に関連する図書
などを作成して保存しておくことが求められます。

「災害配慮」はマンションのみで、自治体など申請先の機関が定めた災害対策措置を
講じることが必要です。
(申請先機関による検査あり)

注文住宅ならともかく、建売住宅の場合は長期優良住宅の認定要件を
満たしているか施工会社や不動産業者に確認しましょう。

認定低炭素住宅の要件

低炭素住宅として認定されるには
 ・基準を超える省エネルギー性能を備えていて低炭素化促進対策が取られていること
 ・都市の低炭素化促進のための基本方針に照らして適切であること
 ・資金計画が適切であること
の3つの要件をクリアしないといけません。

1つ目の「基準を超える省エネルギー性能を備えていて低炭素化促進対策が
取られていること」については
 ・定量的評価項目
 ・選択的項目
の2つをクリアすることが求められます。

「定量的評価項目」は「外皮の熱性能」と「一次エネルギー消費量」の2つに
分かれていて、2つともクリアすることが必須です。

外皮の熱性能は、断熱性と日射遮蔽性が省エネルギー法で定められている
省エネ基準と同等以上であることです。

一次エネルギー消費量は省エネルギー法が定める省エネ基準よりも
10%以上削減できないといけません。

「選択的項目」は
 1.節水機器の設置(便器、水栓、食洗機など)
 2.雨水、井戸水、雑排水の利用設備
 3.HEMSまたはBEMSの設置
 4.再生可能エネルギーによる発電設備と連係した定置型蓄電池の設置
 5.ヒートアイランド対策(壁面緑化、日射反射率の高い舗装・屋根材の使用など)
 6.住宅の劣化軽減措置
 7.木造住宅
 8.構造耐力上主要な部分に高炉セメントまたはフライアッシュセメントの使用
の8項目から2つを選んでクリアすることになります。

木造住宅を新築する場合は既に1項目クリア済なので、
残り7項目から1つクリアするだけでOKです。

東京など今後新築住宅には太陽光発電システムの設置が義務化される自治体も
あるので、選択的項目のクリアはそれほど難しくありません。

認定長期優良住宅や認定低炭素住宅は登録免許税以外の税金も軽減される

長期優良住宅や低炭素住宅の認定を受けると、
登録免許税以外の税金も軽減されます。

住宅ローンを利用している場合、
住宅ローン控除の対象となる上限額が3000万円から5000万円に引き上げられます。

住宅ローン控除の上限が引き上げられることで、
13年間で所得税の控除額が100万円以上増えることもあるのです。

「投資型減税」という優遇措置が受けられて、
最大で65万円が所得税から控除されます。

ただし住宅ローン控除の上限額引き上げと投資型減税は併用できませんから、
どちらか控除額の大きい方を選んで利用しましょう。

長期優良住宅の認定では不動産取得税や固定資産税の優遇も受けられますし、
長期優良住宅・低炭素住宅ともに通常より低金利で住宅ローンが利用できます。

認定を受けることで住宅の付加価値も高まりますから、
売却時に相場よりも高値が付く可能性もあるのです。

申請や審査に手間はかかりますがメリットも大きいので、
これからマイホームを建てるなら長期優良住宅や低炭素住宅を検討してみてください。

まとめ

住宅用家屋証明書の交付を受けることで、
通常よりも建物の登記にかかる登録免許税が軽減されます。

特に中古住宅の移転登記では住宅用家屋証明書の有無で登録免許税の税率が
大きく変わります。

登記にかかる登録免許税は固定資産税評価額を元に計算されますから、
少し税率が下がるだけでも金額にすると大きいです。

要件もそれほど厳しくないので、これからマイホームを購入するなら
住宅用家屋証明書の交付申請を検討してみてはいかがでしょうか。

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